海外移住

デジタルノマドビザがある国一覧|年収・税制で比較

更新: 中村 健太

デジタルノマドビザは、海外企業に雇用される会社員や海外顧客を持つフリーランスが、リモートワークをしながら長期滞在することを正式に認める査証です。
2026年時点で世界65カ国以上が発行しており、滞在期間も6カ月から5年、年収条件も月約10万円台から月約€4,500まで国ごとの差が大きく、単純な国名比較では選び切れません。
観光ビザとの違いは就労の合法性と滞在期間の長さにあり、まずここを外すと税制や収入条件の比較に進めないでしょう。
筆者も東南アジア各国で長期滞在ビザを取る際、現地の非課税だけを見て日本側の税務を後回しにし、帰国後に居住者判定でひやりとした経験があるため、本記事では月収・滞在期間・税金の3軸で交通整理していきます。

目的別おすすめ早見表|あなたに合うデジタルノマドビザ

デジタルノマドビザは、海外企業に雇われた会社員や海外顧客を持つフリーランスが、リモートワークをしながら長期滞在するための査証です。
観光ビザとの違いは、就労の合法性と滞在期間の長さにあります。
観光ビザでのリモートワークはグレーになりやすく、半年以上を合法的に住む前提なら、最初からこの制度で組み立てたほうが迷いません。

デジタルノマドビザと観光ビザは何が違うか

相談を受けた知人が観光ビザの延長でしのごうとして、滞在日数の上限で詰まったことがありました。
ここで効いてくるのは、短期旅行の延長線で考えるか、生活拠点として制度を取るかの差です。
筆者もデジタルノマド歴4年の中で、人気の国から先に見て条件が合わず時間を無駄にした経験があり、結局は「働けるか」「何カ月住めるか」を先に切り分けるほうが合理的だと痛感しました。

選ぶ前に決める3軸:年収条件・滞在期間・税制

比較の軸は3つで足ります。
年収条件は月収型・年収型・貯蓄残高型に分かれ、月収だけ見ていると落とし穴があります。
クロアチアのように12カ月分の利用可能資金€30,471の残高証明を求める制度もあるからです。
滞在期間は6カ月から5年まで幅があり、税制は「現地で外国所得が非課税か」だけでなく、日本の居住者判定や租税条約まで見て考える必要があります。
税額の個別判断は税理士に相談しましょう。

ℹ️ Note

世界65カ国以上が発行しており、条件の幅はかなり広いです。ランキングで眺めるより、自分の収入・滞在希望・税制の3軸で絞るほうが、候補は一気に減ります。

比較はこの6列で統一すると見やすくなります。
国名、年収条件の月収目安、日本円換算の目安、滞在期間、更新可否、現地での外国所得課税、向いている人、の整理です。
以下の表で、以降のセクションも同じ型で読んでいきましょう。

国名年収条件の月収目安日本円換算の目安滞在期間更新可否現地での外国所得課税向いている人
コロンビア約$900約14万円6カ月180日ごとに延長申請可海外所得は原則非課税月収20万円前後で、とにかく安く長く滞在したい人
ジョージア最低収入条件なし約0円1年更新可外国所得非課税収入条件が厳しい制度を避けたい人
メキシコ約$1,400約22万円4年更新可外国所得非課税物価を抑えつつ中南米圏で動きたい人
スペイン約€2,763約51万円最長5年更新可24%の優遇月収50万円以上で欧州生活を狙う人
ポルトガル約€3,280約57万円2年更新可海外所得は原則非課税欧州志向で選択肢を広げたい人
タイDTV$80,000または貯蓄$500,000約1,200万円5年枠で1回180日入国5年外国所得非課税東南アジアを拠点にしたい人

目的別おすすめ早見表

月収20万円前後で、とにかく安く長く滞在したいなら、まず見るべきはコロンビア、ジョージア、メキシコです。
条件の入り口が軽い国ほど、まず滞在を始めて生活設計を固めやすくなります。
月収50万円以上で欧州で暮らしたいなら、スペインかポルトガルが候補になります。
制度面の余裕があるぶん、都市選びや税制の見通しまで含めて考えやすいでしょう。

5年枠で東南アジアを拠点にしたいなら、タイDTVが分かりやすい選択肢です。
短期滞在を積み重ねる設計ではなく、長い時間軸で居場所を作る発想に向いています。
収入条件が厳しければインドネシアやマレーシアDE Rantauも視野に入り、IT職で年収$24,000超ならマレーシアが現実的になります。
高所得で欧州志向ならエストニアも外せません。
月約€4,500、約72万円という水準は高めですが、そのぶん制度の線引きは明快です。

申請で共通しやすいのは、収入証明、残高証明、海外医療保険、パスポートの4点です。
書類を先にそろえれば、国ごとの差は「どこで暮らすか」の問題に絞れます。
制度を比べるほど、答えはシンプルになります。
自分の収入で通る国を見つけ、希望する滞在期間に合う制度を選び、税制まで見てから動く。
そこまで決めて初めて、デジタルノマドビザはおすすめの選択肢になるのです。

全比較一覧表|主要国の年収条件・滞在期間・税制

主要国のデジタルノマドビザを並べると、差が出るのは月収条件だけではなく、滞在期間、更新の可否、現地での外国所得課税まで含めた設計です。
とくに欧州は同じ地域でも条件差が大きく、アジアは入国回数や残高要件が効き、中南米・コーカサスは低コストと条件の軽さが選び分けの軸になります。
収入、滞在期間、税制の3点を同じ表で見ると、自分に合う国は一気に絞りやすくなるでしょう。

欧州勢

欧州は高収入向けの選択肢が多く、スペインは月収約€2,763(約51万円)で1年から始めて最長5年まで更新でき、現地税率24%の優遇があるため、長く滞在しながら税負担を抑えたい人に向きます。
クロアチアは月収約€2,540(約42万円)で最長1年、滞在中は現地所得税が非課税で、スペインより月収条件がやや低いぶん入口は軽い設計です。

ギリシャは月収€3,500(約58万円)を求める代わりに、所得税を7年間50%減免するため、滞在直後の税制メリットを重視する層に合います。
エストニアは月収€4,500(約72万円)と欧州勢でも高めで、Dビザで1年滞在可という条件です。
知人がこの収入条件で諦めてクロアチアに切り替えた例は典型で、同じ欧州でも約30万円の差が選択を分けます。

月収目安滞在期間更新可否現地での外国所得課税向いている人
スペイン約€2,763(約51万円)1年最長5年まで更新可現地税率24%の優遇長期滞在と税優遇を両立したい人
クロアチア約€2,540(約42万円)最長1年非公表滞在中は非課税入口条件を少し下げたい人
ギリシャ€3,500(約58万円)非公表7年間の減免設計所得税50%減免税制メリットを重視する人
エストニア€4,500(約72万円)1年非公表非公表高収入で欧州滞在を狙う人

アジア勢

アジア勢は、滞在のしやすさより制度設計の個性が目立ちます。
タイDTVは5年枠で1回180日の入国を繰り返せる仕組みで、申請費約1.2万円、年収目安$80,000または貯蓄$500,000が必要です。
筆者がタイと近隣国を比べたときも、入国回数と費用の組み合わせが国ごとにまったく違い、表にして初めて自分に合う国が見えました。

インドネシアは5年ビザで外国所得非課税、月収$2,500型と$130,000預金型の両方があり、収入型と資産型を切り替えられるのが強みです。
マレーシアDE RantauはIT職が年収$24,000超、非IT職は年収$60,000超で、職種によって門戸がはっきり分かれます。

月収目安滞在期間更新可否現地での外国所得課税向いている人
タイDTV年収目安$80,000または貯蓄$500,0005年枠で1回180日5年枠内で条件を満たせば延長可外国所得は課税対象外入国設計を重視する人
インドネシア月収$2,500型、または$130,000預金型5年5年で更新可外国所得非課税収入型と資産型を選びたい人
マレーシアDE RantauIT職$24,000超、非IT職$60,000超12か月更新可外国所得は課税対象外職種要件に合う人

中南米・コーカサス勢

中南米・コーカサス勢は、低コスト層にとって現実的な逃げ道になります。
コロンビアは月収約$900(約14万円)と世界最安水準で、申請費約$230と合わせて初期負担が軽いのが特徴です。
メキシコは柔軟な長期滞在がしやすく、収入条件を詰めすぎずに生活圏を広げたい人向きです。

ジョージアは最低収入条件なしで1年滞在可、しかも外国所得は現地非課税です。
収入がまだ安定していない段階でも比較しやすく、コストを抑えながら長期滞在の第一歩を踏み出しやすい国だと言えるでしょう。

月収目安滞在期間更新可否現地での外国所得課税向いている人
コロンビア約$900(約14万円)1年1回更新で最長2年海外源泉所得は原則として現地課税対象外とにかく低コストで始めたい人
メキシコ月収約$2,600または貯蓄約$43,0004年更新可現地で発生しない外国所得は原則非課税滞在の自由度を重視する人
ジョージア最低収入条件なし1年360日ごとに再入国で実質延長可外国所得非課税条件を抑えて長期滞在したい人

年収条件と必要資金の実態|月収いくらで取れるのか

年収条件、月収条件、貯蓄残高型は似て見えても、求められる証明の中身がまったく違います。
単に「条件を満たす」だけでは足りず、どの国が何を見ているのかを先に切り分けないと、あとから残高証明や継続収入の資料で詰まりやすくなるでしょう。
数字そのものより、証明の型を理解しておくことが出発点です。

月収型・年収型・貯蓄残高型の3パターン

月収型は毎月いくら入ってくるか、年収型は年間合計でどれだけ稼いでいるかを見ます。
これに対して貯蓄残高型は、収入の多さよりも手元資金の厚みを重視する方式です。
クロアチアは月収条件に加えて12カ月分の利用可能資金€30,471(約500万円)の残高証明を求めるため、給与だけ整っていても資金の置き方が弱いと通りません。
インドネシアのセカンドホームビザも月収ではなく$130,000の銀行預金を要件とするので、生活力の見られ方がまるで違うのです。

スペインは現地最低賃金の200%である月約€2,334が下限ラインになり、最低賃金連動の国では基準が改定されうる点も見落とせません。
つまり、同じ「収入条件あり」でも固定額で押し切れる国と、制度改定に合わせて数字が動く国があるということです。
年収型と月収型は稼ぎ方の話、貯蓄残高型は資金管理の話だと分けて考えると整理しやすいでしょう。

残高証明・収入証明で実際に求められる金額

残高証明で見られるのは、申請直前に一気に入れたお金ではなく、一定期間寝かせてきた資金です。
筆者も残高証明を準備したとき、申請直前の大きな送金は「見せ金」と見なされかねないと気づき、数カ月前から資金を移さず置いておく必要があると理解しました。
見た目の残高より、資金の流れに無理がないかを確認されるからです。

収入証明では、直近数カ月の入金履歴や雇用契約書、業務委託契約書のように、継続性を示す材料が効きます。
フリーランスの知人は収入の波が大きく、単月の高収入だけでは安定性を示しにくかったのですが、年間の契約書をまとめて提出して通しました。
突発的な売上より、毎月の再現性をどう示すかが勝負になります。

配偶者・子を同伴する場合の上乗せ

家族同伴では、単身者向けの数字をそのまま使えない国が多いです。
配偶者や子1人ごとに収入条件が上乗せされる設計だと、同じ月収でも世帯全体の維持力を見られるため、必要額は想像以上にふくらみます。
単身想定で通る水準でも、家族を連れて行くと急に足りなくなるのはこのためです。

ここで見るべきなのは、基本条件の額だけではありません。
上乗せ分が「定額加算」なのか「比例加算」なのかで準備の難易度が変わるからです。
家族で行くなら、収入証明と残高証明の両方を世帯単位でそろえ、どこまでが本人分でどこからが同伴分かを崩さずに組み立てるとよいでしょう。
おすすめです。

税制で比較|現地非課税でも日本で課税される落とし穴

『現地で外国所得が非課税』と聞くと税負担が消えるように見えますが、実際に軽くなるのは現地の所得税だけです。
ジョージア、クロアチア、タイLTR、個人所得税のないUAEのような国でも、日本側で居住者に該当すれば全世界所得が課税対象になり、帰国後に想定外の税額が出ることがあります。
現地制度だけを見て判断すると、あとで日本の課税関係でつまずきやすい。

『現地で非課税』が意味するのは現地税だけ

比較表で見ると、各国の差は大きく二つに分けられます。
ひとつは「現地でどこまで軽くできるか」、もうひとつは「滞在設計をどれだけ長く組めるか」です。
スペインは月収約€2,763(約51万円)で1年、最長5年更新、現地税率24%の優遇があります。
ギリシャは月収€3,500(約58万円)で、所得税を7年間50%減免します。
クロアチアは月収約€2,540(約42万円)で最長1年、滞在中の現地所得税が非課税です。
ジョージアは最低収入条件なしで1年滞在可、外国所得は現地非課税です。
タイ DTVは5年間で1回180日の入国を繰り返せて、申請費用はTHB10,000(約1.2万円)です。
年収目安は$80,000、または貯蓄$500,000です。
コロンビアは月収約$900〜(約14万円)と世界最安水準の収入条件で、申請費用は約$230です。
エストニアは月収€4,500(約72万円)でDビザにより1年滞在でき、マレーシア DE Rantau はIT職が年収$24,000超、非IT職は年収$60,000超です。

国・制度 月収目安 滞在期間 更新可否 現地での外国所得課税 向いている人
スペイン 約€2,763(約51万円) 1年 最長5年更新 現地税率24%の優遇(通常最大47%) 欧州で中期滞在を組み、税率差を使って設計したい人
クロアチア 約€2,540(約42万円) 最長1年 非公表 滞在中は現地所得税が非課税 1年単位でコストを抑えたい人
ギリシャ €3,500(約58万円) 7年間 50%減免適用期間あり 所得税を7年間50%減免 長めに欧州で腰を据えたい人
エストニア €4,500(約72万円) 1年 非公表 非公表 高めの収入で北欧圏に近い環境を使いたい人
コロンビア 約$900〜(約14万円) 非公表 非公表 非公表 収入条件を最小限にしたい人
ジョージア 最低収入条件なし 1年 非公表 外国所得は現地非課税 条件の少なさを優先したい人
タイ DTV 年収目安$80,000または貯蓄$500,000 5年間で1回180日 反復入国で運用 非公表 長期の行き来を前提にしたい人
マレーシア DE Rantau IT職は年収$24,000超、非IT職は年収$60,000超 非公表 非公表 非公表 職種に応じて収入条件を見極めたい人

筆者も以前、現地の非課税だけに目を向けて出国し、帰国時に居住者判定の論点で足を止めました。
出国前に生活の本拠をどこに置くのか、住居、家族関係、仕事の実態まで整理しておかないと、現地で税が軽くても日本側で課税が残るからです。
知人にも、現地で非課税だからと申告を軽く見て、日本側で居住者と判定されて慌てた例がありました。

日本の居住者判定は日数だけで決まらない

日本の所得税は、居住者か非居住者かで課税範囲が変わります。
居住者なら全世界所得が対象になるため、海外で税がかからない国に滞在していても、日本で課税される余地が残るのです。
しかも判定は183日という日数だけでは終わらず、住所、生活の本拠、永住の意思を総合して見られます。
183日以上国外にいても、本拠が日本にあれば居住者とされうる点が落とし穴です。

逆に、永住の意思を持って生活拠点を海外へ移せば、滞在1年未満でも非居住者として扱われる場合があります。
ここで効いてくるのは「どこにいるか」より「どこを生活の中心にしているか」です。
住民票や渡航日数だけを整えても足りず、住居、家計、仕事、家族の置き場所がどちらにあるかが見られます。
数字だけで線を引けないので、出国前から設計しておきましょう。

二重課税を避ける租税条約と外国税額控除

現地と日本の両方で同じ所得に税がかかる場面は、租税条約と外国税額控除で調整します。
現地で払った税は日本の所得税から控除できる仕組みが基本で、二重課税をできるだけ抑える考え方です。
だからこそ、「現地非課税」かどうかだけでなく、日本でどう処理されるかまで見ておく必要があります。

実務では、海外居住を前提にしても課税関係の確認が抜けると、後から申告や証拠の整理に追われます。
制度の骨格は共通でも、収入の形や滞在実態で結論は変わるでしょう。
本セクションは一般的な制度の解説にとどめており、個別の税務判断は専門家に相談して進めるのが安全です。

申請の流れと共通の必要書類|どの国でも必ず求められるもの

国ごとに細部は違っても、申請は収入証明をそろえ、残高証明を準備し、海外医療保険に加入し、そのうえでオンラインまたは在外公館で申請する流れにほぼ収れんします。
まず押さえるべきは、ほぼ全ての国で求められる収入証明・残高証明・海外医療保険・パスポートの4点です。
リモートワーカーであることの証明も前提になり、現地企業に雇われる就労とは切り分けて考える必要があります。

申請の基本ステップ

最初の関門は、外国企業所属またはフリーランスとして働いている事実を示すことです。
収入証明が弱いと、その後の残高証明や保険をそろえても申請全体の説得力が落ちます。
続いて残高証明で生活費をまかない切れるかを示し、海外医療保険を整え、最後にオンラインか在外公館で申請する、という順番で組み立てると流れが見えやすくなります。
手続きの入口がずれると、翻訳や公証の追加作業で時間を失いやすいので、先に全体像を置いて準備しましょう。

取得までの期間は数週間で済む国もあれば、数カ月かかる国もあります。
ここを読んでから動くなら、渡航日を起点に逆算したほうがよいでしょう。
知人は書類の翻訳と公証で想定以上に日数を取られ、出発直前に慌てていました。
締切からではなく、渡航時期から準備を置く発想が向いています。

残高証明・収入証明の準備のコツ

残高証明は、単に口座にお金があるかを見せるだけではありません。
短期の資金繰りで詰まらないか、滞在開始直後の家賃や生活費を払えるかまで見られていると考えると、金額の意味がはっきりします。
収入証明も同じで、毎月の売上や給与が継続して入る形を示せると、審査側は「滞在中に無収入になる可能性が低い」と判断しやすくなります。
形式だけ整えても弱いので、数字の流れまで見せる意識が役立ちます。

残高証明は、申請日に間に合うだけでなく、資金の出入りが不自然に見えない状態にしておくと安心です。
筆者も海外医療保険の補償額が要件に届かず、加入し直してから申請したことがありますが、書類は一つでも条件を外すとやり直しになります。
だからこそ、保険だけでなく残高証明や収入証明も、数字の条件を先に揃えておく発想が有効です。
準備は細かいほど、後戻りが少なくなります。

必須の海外医療保険と補償額

海外医療保険は、ほとんどの国で必須書類に含まれます。
なかでも補償額の下限が設けられているケースが多く、単に加入しているだけでは足りません。
日本版では傷害疾病の治療費補償額1,000万円以上が必須で、ここを満たさないと受付段階で止まることがあります。
保険は後回しにしやすいものの、実際には申請可否を左右する核心です。

保険の確認が遅れると、ほかの書類がそろっていても申請が進みません。
筆者の場合も、要件未達のままでは提出できず、結局は加入し直してから進めることになりました。
保険会社名やプラン名より先に、治療費補償額が条件に届くかを見るのが先です。
補償額、対象疾病、加入証明の3点をそろえれば、見落としをかなり減らせます。

更新可否は国差が大きく、日本版は最長6カ月で更新不可、出国後6カ月で再取得可という設計です。
これに対して、スペインは最長5年、タイDTVは5年枠という長期前提の制度もあります。
短期滞在で回す国か、長期運用を見込む国かで準備の考え方が変わるため、保険と同じく滞在設計まで含めて見ておきましょう。

日本のデジタルノマドビザ|来日リモートワーカー向けの制度

日本版のデジタルノマドビザは、2024年3月31日から運用が始まった特定活動・告示53号の制度で、海外企業の勤務者やフリーランスが日本に滞在しながら仕事を続けるための入口になります。
滞在は最長6カ月で更新はできず、長期移住というより、一定期間だけ日本を生活拠点にするための短期設計です。
だからこそ、日本での暮らし方を試したい人には合いますが、腰を据えて住み続ける前提では見方が変わるでしょう。

日本版の対象者と年収条件

対象になっているのは、査証免除国かつ租税条約締結国・地域の国籍を持ち、年収1,000万円以上を満たす人です。
本人だけで約49の国・地域、家族同伴まで含めると約70の国・地域とされ、広く開いているようでいて、実際には収入と国籍の両方で線が引かれています。
海外でリモートワークを続ける人にとっては、日本の生活環境を使えるのが魅力ですが、誰でも申請できる制度ではありません。

この条件設計には理由があります。
日本側から見れば、滞在中の消費や交流を受け入れつつ、就労先を日本国内に移さない人を対象にしたいので、収入水準と国籍要件で一定の絞り込みをかけているわけです。
海外在住の知人は、数カ月だけ日本に戻って仕事を続ける使い方をしていましたが、家族の生活基盤まで丸ごと移す用途ではなく、里帰りに近い滞在には向いていると感じました。
筆者自身も一時拠点として日本へ戻る選択肢を考えたことがありますが、長期拠点には短すぎると判断しました。

ℹ️ Note

仕事を日本に持ち込みつつ、生活の足場だけを日本に置く発想なら相性がいい制度です。逆に、転職や常住を前提にすると、制度の輪郭がかなり細く見えてきます。

滞在期間と再取得の条件

滞在期間は最長6カ月で、しかも更新不可です。
いったん使い切ったあとに再び申請するには、出国後6カ月の経過が必要なので、連続して日本に居続ける運用は想定されていません。
長期ビザのように滞在を延ばしながら定住していく仕組みではなく、区切りを前提にした制度だと考えると分かりやすいでしょう。

この短期設計は、海外ノマドにとっては使いどころがはっきりしています。
観光では足りないが、移住ほど重くしたくない。
そんなときに、日本で仕事を続けながら季節をまたがず滞在する選択肢になります。
実際、短期の里帰りを兼ねて数カ月だけ日本に滞在するケースでは、生活の再接続や家族との時間を確保しやすく、かなり実用的です。
反対に、住居契約や子どもの通学まで含めた長期設計を組むなら、別の在留戦略を考えたほうがよいでしょう。

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中村 健太

外資系IT企業を退職後、デジタルノマドとして東南アジア各国に滞在。タイ・マレーシア・ベトナムでの生活経験とFP資格を活かし、移住の手続き・費用・税金を数字で解説します。

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